2013年レギュラーシーズンの高橋由伸は打率.303,10本塁打,34打点,OPS.950という成績でした。ケガで出遅れたため,打席数が197と少ないですが,近年の数字の落ち込みを考えると素晴らしい成績を残しました。

 全打席の結果は以下のとおりです。
2013年高橋由伸レギュラーシーズン打撃データ

 数字を詳細に眺めますと,ケガ前はケガの原因となった4月4日の初安打まで14打席の間,安打が出ませんでした。ただ,その間も敬遠を含む四球は3つあり,出塁率は一定程度維持しているのがさすがです。

 ケガからの復帰後は,復帰した6月29日から7月14日までは調子が出ず一進一退の状況が続きます。ただ,この間も四球が多く,打率は2割前半が多いにも関わらず,出塁率が4割台を保っています。この粘り腰がスタメン出場を着実に勝ち取っていた要因かと思います。

 転帰の一つ目は7月16日の阪神戦です。得意にしているスタンリッジが相手の先発でしたが,合計3安打を放ちました。ここをきっかけに,打率が2割後半,出塁率が4割前半に落ち着くようになりました。

 二つ目の転帰は8月24日,25日のDeNA戦です。両試合ともジャイアンツの打線が爆発したのですが,高橋由伸も8打数6安打と打ちまくり,打率を3割台に載せ,以後3割を割ることがありませんでした。8月27日には今シーズン最高の出塁率.467を記録しています。

 今シーズンで結果的に最も調子が良かったのが,8月31日の中日戦から9月8日の阪神戦まででした。9月6日には甲子園の左翼ポール際に能見からホームラン,9月8日には,甲子園左中間最深部にスリーランホームランを放つなど,5試合で4本塁打を放ちました。ただ,相手の先発に合わせてか,疲れのためか,試合は休みながら出ている期間でした。本塁打は出ていましたが,高橋由伸自身の調子としてはいまいちだったのかもしれません。ただ,この直後の9月11日に,今シーズン最高打率.344,最高長打率.616,最高OPS1.069を記録しました。

 その後セ・リーグ優勝を決めた9月22日までは好調を保ち,打率.331,POS1.038という成績でしたが,優勝後8試合で2安打しか打てず,打率を3割ギリギリまで落としてしまいました。ポストシーズンも調子が悪かったのですが,結果的にはこのシーズン終盤の起用法に疑問符が付く形になってしまいました。実戦から離れて調子が出なくなるリスクがあるために,ある程度優勝後も試合に出る機会を,ということだったのだと思います。しかし,優勝決定後の消化試合,気温が下がり悪いコンディション,シーズン終盤の疲れなどが重なり,かえって調子を崩す原因になってしまったように思います。まあ,結果論になりますが。

 いずれにせよ,一昨年,昨年の成績に物足りなさを感じていたファンにとっては,良い数字が残りました。あの腰の大けがからようやく復活したと評価できるシーズンになったと思います。