FAで獲得した野上の人的補償は,高木勇人が選ばれました。ジャイアンツではルーキーイヤー以降は燻っている感じでしたので,新天地で心機一転がんばってほしいです。

 高木勇人を獲得されたことについて,プロテクトの失敗であるとか,野上との単なるトレードであり,FAで野上を獲得した意味はあるのかという声が上がっているようです。

 しかし,高木勇人の投球内容を見ている限り,プロテクトから外すのもそれなりの妥当性はあると思いますし,野上のFA獲得は戦力アップになっていると思います。

 高木勇人の主な指標を2015年,2016年,2017年と並べてみると,

防御率が,3.19,4.32,2.63
xFIPが,3.72,4.35,4.35
K-BB%が,12.4,10.9,9.3
HR/9が,0.88,1.15,1.32

 と年々悪化しています。
 高木勇人のピッチングの強みは,「タカギボール」と呼ばれる独特の変化をするカットボールです。スピードが速いとか,異様に曲がるというわけではなく,独特というところに強みがあるため,初見では非常に打ちにくいボールですが,慣れられると弱いところがあります。高木勇人の各種指標が悪化しているのは,ルーキーイヤーは打者が慣れていないため通用していましたが,対戦が増え,分析が進んだことで抑えられなくなったものと思います。

 高木のスピード,球威,コントロールを見ていると,28歳という年齢から,今後,それほどの伸びしろがあるようには思えません。ジャイアンツという同一球団にいては,今後のさらなる活躍は難しかったと思います。

 したがって,プロテクト漏れで獲得されたことは大きな戦力ダウンではありませんし,プロテクトから外していたことも妥当なものだったと思います。

 来年はその独特のボールでパの打者が戸惑い,その活躍が光る瞬間もあるとは思いますが,残念ながら,継続的な成績を残すことはなかなか難しいのではないでしょうか。