坂本の代わりにショートに入った吉川尚輝が左手を骨折してしまいました。好調で何かを掴んだのではないかと思われていたときなので,非常に痛いです。チームも痛いですが,吉川尚輝のプロ野球人生を考えたときに,悪いターニングポイントになってしまう可能性があります。

 まず,ケガは完全に治るのでしょうか?手術をするという報道もありますが,骨折や肉離れなどをきっかけに,以前と同様のプレーができなくなり,そのままフェードアウトしてしまうプロ野球選手は多いです。元に戻ってくれるケガであることを祈るしかありません。

 次に,成長の機会を逸している可能性があります。上にも書きましたが,何かを掴んだのではないかと思われるような状態だったので,その伸びが遅れたことは確実です。それ以上に,リセットされてしまう,または,もうこのような成長のきっかけを掴むことができない場合もありえます。

 さらに,一塁ベースへのスライディングを見ていて,吉川尚輝はケガを頻発するプレースタイルなのではないかという感じを受けました。全力プレーには魅力がありますが,ケガをしてしまっては意味がありません。その点,坂本は素晴らしいプレーをしながらも,そのプレーの流れは余裕を感じます。若いときには手を抜いているのではないかという全くの勘違いをされることもありましたが,坂本の場合は,全力の中でも余裕を持てるという素晴らしい才能の持ち主だっただけでした。この余裕が坂本に大きなケガを生じさせなかった大きな要因の一つだったと思います。吉川尚輝のプレーはどれも素晴らしい輝きを放っていますが,体の能力を超えた力,120%の力を出してプレーをしていまっているように見えます。これを続けていては,良い状態でプレーできる期間は非常に短くなってしまうでしょう。

 同じ怪我をしがちな全力プレーの選手に高橋由伸がいました。ケガさえしなければと言われ続けたまま現役選手を終えました。吉川尚輝には高橋由伸と同じ轍を踏んでほしくありません。しかも,高橋由伸は,その才能が300%,400%あった選手なので,ケガでその力が削られても,一流のプレー続け,成績を残すことができました。吉川尚輝もそうならば,良いのかもしれませんが,そんな選手は本当に稀だと思います。また,吉川尚輝のプレースタイルは高橋由伸と異なり,スピードに重点があるので,ケガには弱い気がします。ケガをしながら,年齢を重ねれば,片岡治大のように苦しい場面が出てきてしまうのではないでしょうか。吉川尚輝には,このケガをきっかけに,肉体改造やプレースタイルの変更,考え方の変革をお願いしたいです。