内海哲也が炭谷銀仁朗のFA獲得の人的補償で西武へ移籍しました。内海はジャイアンツの大功労者ですが,最近成績が残せていなかったのは事実です。プロテクトリストから漏れたのは,戦力という面から妥当だったのかどうかを考えてみたいと思います。

内海哲也の3年間の成績

年齢
試合勝利
敗戦防御率
xFIP
WAR
2016
3318
9
6
3.94
3.73
2.6
2017
34
12
2
7
5.77
4.64
-0.3
2018
34
15
5
5
4.17
4.74
1.1

 2013年に13勝してから,二桁勝つことはなく,ここ三年間はローテーションの谷間で投げる投手になっていました。一年間しっかりとローテーションを任せられる存在ではなくなってから,かなり時間が経ちました。年俸もそれを表していて,2016年は4年契約の最後なので,4億円でしたが,そこから半減を繰り返し,2017年2億円,2018年1億円,2019年1億円という契約内容でした。今季も前半戦はかなり良い数字を残していましたが,後半戦は息切れをして,最終的な成績は,過去の実績の除いて単年で見れば1億円の価値はない成績となってしまっています。

 投球の結果を細かく見ると,HR/9が最も衰えているようです。通算のHR/9は0.78ですが,ここ三年は,0.84,1.56,1.21とかなり悪化しています。また,被打率も微妙に悪化しています。通算が.257ですが,ここ三年は.254,.291,.284です。ただ,K-BB%は,誤差の範囲に留まっているように思えます(通算12.0,ここ三年は13.3,6.2,10.3)。

 打たれるようになったのは,加齢とともにボール自体の有効性が徐々に減じてきたためと思われます。2014年は7勝9敗と結果は伴わなかったですが,144と2/3回と多くのイニングを投げながら,xFIPが3.99ときちんとローテーション投手を勤め上げた最後の年です。この年はまだ,sFT/Cが2.20,wCH/Cが1.33と有効なボールがありましたが,ここ三年間では,2018年のwFT/Cが1.10と1を超えているだけで,その他は若干のプラスかマイナスに沈んでしまっています(参考:2018年の菅野は,wFA/Cが1.49,wSL/Cが3.08,sCT/Cが2.35)。

 このように内海は,投球の最終的な結果である勝ち星だけでなく,投球内容を示すxFIPやHR/9などの指標が徐々に悪化していました。そして,それは投げているボール自体に原因がありそうです。内海が下り坂の投手になってしまっていることは,明白なようです。

 すると,内海単体をチームの勝利を導く純粋な戦力的な価値という面からみると,残念ながらプロテクトするだけの価値はあまりなかったということになりそうです。ただ,プロテクトリストは,他の選手との兼ね合い,獲得をする球団の戦力状況によっても変わってくるので,その点は,もちろん考慮しなければいけませんが,今回は内海のみを見た考察に留めたいと思います。