原監督は吉川光夫をリリーフで起用することを考えているようです。背番号も岩隈の影響がありましたが,21から山口鉄也の47を引き継ぎました。吉川光夫は山口鉄也になれるのでしょうか。
山口鉄也のような勝ちパターンでのリリーフとして成功するには,年間を通して,多投しながらも打者に見極められずに抑えきる球種が必要だと思っています。下記表は,2018年に防御率が2点台までで,セーブ・ホールドがそれぞれ多い上位3人を抜き出したものです。そして,それぞれの投手について,各球種の100球当たりの失点増減と投球割合を入れています。山崎ならば,ストレートとフォーク,森ならばストレート,カットボール,カーブ,石山ならばストレートとスライダー,宮西ならばストレートとスライダー,パットンならば,ストレートとスライダー,桑原ならばスライダーが,多投しながらも失点を防いでいるボールです。こういうボールがなければ,勝ちパターンのリリーフとしては成功はできないと思います。
選手名 | 防御率 | SV/HLD | wFA/C | wFT/C | wSL/C | wCT/C | wCB/C | wCH/C | wSF/C | wSI/C | wSP/C |
山崎康晃 | 2.72 | 37/3 | 0.50 (44.7%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) | -100.00 (0.1%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) | 1.39 (55.2%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) |
森唯斗 | 2.79 | 37/6 | 0.11 (28.5%) | -1.59 (11.2%) | -6.09 (2.0%) | 2.38 (32.6%) | 1.95 (19.5%) | -1.81 (0.8%) | 4.89 (5.4%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) |
石山泰稚 | 2.08 | 35/7 | 1.83 (55.7%) | -4.08 (0.1%) | 1.82 (21.2%) | 0.00 (0%) | 1.02 (3.9%) | 0.00 (0%) | -1.30 (19.1%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) |
宮西尚生 | 1.80 | 0/37 | 1.94 (54.7%) | 0.00 (0%) | 0.64 (41.3%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) | 0.96 (3.9%) | 0.00 (0%) |
S・パットン | 2.57 | 0/33 | 0.56 (62.1%) | 0.00 (0%) | 1.71 (34.8%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) | -3.74 (3.0%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0.1%) |
桑原謙太朗 | 2.68 | 0/32 | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) | 1.59 (53.3%) | -1.27 (45.8%) | -0.14 (0.8%) | 0.00 (0%) | -29.15 (0.1%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) |
では,吉川光夫の各球種はどうでしょうか。
年 | 防御率 | SV/HLD | wFA/C | wFT/C | wSL/C | wCT/C | wCB/C | wCH/C | wSF/C | wSI/C | wSP/C |
2016 | 4.19 | 3/0 | -0.75 (48.4%) | -0.44 (8.9%) | -0.72 (20.7%) | 0.00 (0%) | -0.72 (14.0%) | -1.03 (2.2%) | 4.18 (5.8%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) |
2017 | 5.87 | 0/0 | -0.76 (49.4%) | -1.01 (10.5%) | -1.18 (20.7%) | 0.00 (0%) | -3.09 (13.0%) | -2.19 (5.3%) | -16.54 (1.9%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) |
2018 | 4.26 | 0/0 | -0.31 (55.8%) | 0.00 (0%) | -0.12 (16.6%) | 0.00 (0%) | 0.66 (20.7%) | -4.24 (2.6%) | 2.30 (4.3%) | 0.00 (0%) | 0.00 (0%) |
思った以上に厳しい状況のようです。毎年ストレートが50%近くを占めますが,失点を防ぐことができていません。次に多投されるスライダーもです。大きく投球の内容を変えるか,強みのあるボールを生み出さないと山口鉄也の代わりは務まりそうもありません。光を見いだすとするならば,2018年に投げる割合を増やしたカーブがプラスの結果を残しています。また,バラツキはありますが,フォークも可能性がありそうです。今まで多投していたストレートとスライダーは見せ球にして,カーブとフォークボールを決め球,もしくは軸にして投げていくことが一つの解決策かもしれません。
いずれにせよ,今までのままでは山口鉄也の代わりは厳しいと思われます。先発から短いイニングを投げるリリーフになれば,各球種の質も変わるかもしれない。これに勝機を見いださなければならない厳しい配置転換かもしれないと思いました。
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