先日,小林と大城の打撃を比較した記事を書きましたが,来年は炭谷の加入でこの二人よりも割を食いそうな打者がいます。宇佐美真吾です。2017年はミラクルな打撃を繰り返し,キラ星のごとくデビューしましたが,2018年は結果が出ず,第2捕手の座を大城に取って代わられました。しかし,各種指標を見ると,2017年は幸運に恵まれすぎ,2018年は不運に見舞われすぎたのが実体で,両年とも宇佐美の真の実力を表していないように思えます。

宇佐美の打撃1

PA
H
HR
AVG
OBP
SLG
OPS
2017
45
14
4
.350
.422
.650
1.072
2018
58
5
0
.104
.259
.146
.404

 2017年は,45打席にもかかわらず,4本塁打を放ち,打率は.350でOPSが驚異の1.072を叩き出しました。それに対して,2018年は2017年よりも多い打席の58打席に立ちながら,本塁打ゼロで,打率はこれも逆の意味で驚異の.104,OPSは.404に落ち込みました。この極端な成績は,打席数が少ないために大きなブレを生んでいるのですが,下記の各種指標からも,そのブレが分かります。

宇佐美の打撃2

BB%
K%
BAPIPGB%
FB%
GBOut%
Soft%
Hard%
O-Swing%
Z-Swing%
O-Contact%
Z-Contact%
2017
6.7
31.1
.455
50.0
38.5
61.5
8.0
44.0
32.1
65.8
40.0
84.0
2018
17.2
34.5
.179
60.7
35.7
94.1
21.4
25.0
24.7
59.6
52.8
80.0

 2017年はBAPIPが.455と超高値です。他方,2018年は.179と超低値になりました。2017年は運に恵まれ,2018年は不運につきまとわれたことが良く分かります。通常BAPIPは.300付近に収束するので,2017年も,2018年も宇佐美の打撃の真の実力を表せていないことになります。おそらく,2017年と2018年の中間くらいが宇佐美の打撃の実力なのだと思います。

 このBAPIPの差を生んだのは,打球の質が違ったことにありそうです。2017年はHard%が44.0を記録したのに対し,2018年は25.0と強い打球が減りました。他方,Soft%は8.0から21.4%に増加しています。このために,2018年はGBOut%が94.1という異常なアウト率になっています。この偏りが解消されれば,成績は2017年と2018年の間に落ち着いてくるのではないでしょうか。

 ただ,打撃指標で,K%の高さは心配な点です。2017年,2018年の両年とも30%を超えています。2018年の打席数が50を超えた打者の中では,宇佐美の三振率が最も高いです。三振の多い陽岱鋼ですら26.1ですので,さすがに多すぎです(阿部24.7,岡本19.5)。この三振率が改善しなければ,小林,炭谷,大城の壁を打ち破ることは難しそうです。2017年のミラクルに表れているように,宇佐美の打撃には「意外性」という華があると思います。こういう打者が一人いるとチームに活気をもたらすので,ぜひレベルアップして,1軍の座を掴んでほしいです。